中国では習近平国家主席が文化大革命(1966~1976年)の10代から20代にかけての7年間、中国西北部の農村地帯、陝西省梁家河地区に下放されて、農作業などの重労働に携った時期を礼賛するキャンペーンが続いているが、当時の梁家河で6年間、住居が同室だったルームメイトは「当時の習近平は、いま言われているほど、充実した満足な生活を送ってはいなかった。政府は習近平の当時の生活を美化し過ぎだ」などと苦言を呈した。
このルームメイトは雷平生氏。習氏より3つ年上の68歳で、薬学関係の化学者だったが、いまはすでに引退している。梁家河での習氏のルームメイトが、下放時代の習氏の生活の実態を生々しく語るのは珍しい。
雷氏は文革期に幹部子弟が学ぶ小中高一貫教育のエリート校である「八一学校」出身で、習氏も父親が副首相だったこともあり、同校に学んでいた。
しかし、二人とも毛沢東主席による「青年は革命精神を農民に学べ」との方針で、地方に下放され、同じく梁家河の農村で青春時代を過ごした。
住居は洞窟を改造した「ヤオトン」と呼ばれるもので、雷氏は6年間、習氏と同じヤオトンで暮らし、農作業や重労働に従事した。
そのときの習氏の生活について、中国政府は「習近平的七年知青歳月(習近平7年の知識青年の歳月)」という本を出版。これは、1960年代末の文化大革命期、都市の知識階層に属する青年を強制的に農村に送り込む「下放政策」によって陝西省延川県に送られた習氏と生活を共にした雷氏を含め、習氏と付き合いのあった人々へのインタビュー集だ。