“金農フィーバー”に沸いた夏の甲子園100回大会。だが、その陰で突きつけられた大きな課題が、投手の「球数制限」だ。〈大エースが潰れてしまうほどの連投や球数は制限すべき〉〈一部のエリートを守るだけの球数制限は必要ない〉──賛否両論の球数制限について、同志社大学政策学部教授の太田肇氏は、こんな提案をする。
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夏の高校野球全国大会の余韻がなかなか冷めない。今年の大会は100回記念の名に負けない盛り上がりを見せたが、その主役はなんといっても金足農業高校、そしてエースの吉田輝星選手である。雪国の公立農業高校が都会の名門私立高校をつぎつぎに倒しての躍進に涙を流し、決勝まで一人で投げ抜いたエースの豪腕ぶりに拍手喝采した人は少なくなかった。
一方、フィーバーの裏側で批判の声も上がった。吉田選手が大会を通じて投じた881球、秋田予選から数えると1517という球数には、「苛酷」という言葉がピッタリする。
成長途中の高校生にとって、これだけの球数はあまりにも負担が大きく、へたをすると将来の野球人生を台無しにしかねない。国内外から届く批判の声を受け、この問題には野球関係者だけでなく政治家も関心を示すなど、波紋は広がっている。
唱えられる改革案のなかでひときわ注目されているのは、アメリカのように球数を制限してはどうかという案だ。たしかに一見すると合理的なようだが、つぎのような弊害もある。