世の中には様々な健康法が溢れている。しかし、メディアが「これで長生きできる」と喧伝していても、その中には本当に信じてよいのか疑わしいものもある。
「本当に信頼に足るのは、『実際にどれだけの人が健康になったか』という事実を積み上げた『統計(疫学)データ』です」
そう指摘するのは、『みんなが信じている健康法のウソ』の著者で、東京慈恵会医科大学教授の浦島充佳医師だ。こう続ける。
「集団を対象にして集めたデータを、統計的な手法で分析し『病気になる人』と『病気にならない人』の生活習慣を長期的に比較した研究が近年増えています」
例えば、体重は寿命を決める大きな要素だが、「太り気味」を悲観することはない。米疾病対策センターが288万4709人のデータを分析すると、肥満の目安であるBMIが「過体重」(=25~30。身長170cmの場合、体重が72.3~86.7kg)の人は、「普通体重」(=BMI 22。同身長で63.6kg)の人に対して死亡リスクが6%低かった。
「適度な脂肪があるとアディポネクチンという善玉ホルモンが分泌され、糖尿病や動脈硬化を予防します。標準体重より5%ほど太めのほうが長生きすると言われます」(秋津医院院長の秋津壽男医師)