【書評】『日航123便墜落 遺物は真相を語る』/青山透子・著/河出書房新社/1650円+税
【評者】森永卓郎(経済アナリスト)
私が報道関係の仕事に携わって20年近くになるが、ずっと棘が刺さったように気になっていたことがある。33年前の日航123便墜落事故だ。当時、墜落場所に関する報道は錯綜し、翌日朝まで不明だった。
ところが、米軍は当初から墜落場所を把握していて、救援機まで飛ばしていたのに、日本政府が救援を断っていたことや、墜落場所を知らなかったはずの自衛隊がすぐに現場に入っていたことなど、圧力隔壁の破断による墜落という事故調査委員会の結論を疑わせる情報が次々に明らかになった。本当は、何が起きていたのか。
昨年、私の疑問に見事に答えてくれたのが、著者の前作『日航123便墜落の新事実』だった。東大大学院で博士号を取得している著者は、科学者の研究手法を貫いていて、証拠のある事実しか書かない。そして、文献調査と独自の証言集めによって、驚くべき事実を明らかにした。
日航123便を2機の自衛隊ファントム機が墜落現場まで追尾していたこと。そして、それとは別に赤い飛行物体が123便に張り付くように飛行していたこと。さらに、遺体がまるで二度焼きしたかのように完全に炭化し、現場にはガソリンとタールの混ざったような異臭がしていたということなどだ。