芸能

落語の好企画、二ツ目・柳家わさびの三題噺を先輩が演じる

注目の二ツ目、柳家わさびを落語通が語る

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、三題噺を創作する勉強会を毎月開いている注目の二ツ目・柳家わさびの新作を先輩に演じてもらう企画「三題噺トリビュート」についてお届けする。

 * * *
 飄々とした口調と草食系の風貌が醸し出す独特な雰囲気が人気の二ツ目、柳家わさび。古典の実力派だが、トボケた新作もまた楽しい。

 7月23日、内幸町ホールで「柳家わさび 三題噺トリビュート」という会が開かれた。わさびは毎月神保町・らくごカフェで三題噺を創作する勉強会「月刊少年ワサビ」を開いているが、そこで出来た作品を先輩に演じてもらおうという企画がこの「三題噺トリビュート」。第1回のゲストは柳家喬太郎だ。

 まずはわさびが喬太郎から教わった『仏馬』を。埋もれた古典を喬太郎が掘り起こした演目だ。酔っ払った坊主が木に繋いであった馬を放し、連れの小坊主に「馬に荷物を載せて寺へ帰れ」と命じて寝てしまう。そこへ馬の持ち主がやって来たので坊主は「仏罰に当たって馬の姿に変えられておりましたが、先ほどお釈迦様に赦されました」と嘘をつく、という噺。ほのぼのとした雰囲気がわさびに似合っている。

 喬太郎が演じた『出待ち』は「月刊少年ワサビ」初期に「宝塚歌劇団/人間失格/忘れ物」というお題で作られたもの。極度に内気で無口な高校生の山田は「太宰治研究会」唯一の部員。顧問の教師に「女子が出待ちしてファンレターをくれるかも」とそそのかされて、文化祭で『人間失格』の朗読をすることに。本番直前、不良に本をすり替えられて苦境に陥ったかと思いきや、山田は『人間失格』を丸ごと正確に暗記していて、本を持たずに見事に朗読に成功、期待どおり下級生の女子が手紙を持ってやって来る……。

関連キーワード

トピックス

『マモ』の愛称で知られる声優・宮野真守。「劇団ひまわり」が6月8日、退団を伝えた(本人SNSより)
《誕生日に発表》俳優・宮野真守が30年以上在籍の「劇団ひまわり」を退団、運営が契約満了伝える
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン
アーティスト活動を本格的にスタートした萌名さん
「二度とやらないと思っていた」河北彩伽が語った“引退の真相”と復帰後に見つけた“本当に成し遂げたい夢”
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、小泉家について綴ります
《華麗なる小泉家》弟・進次郎氏はコメ劇場でワイドショーの主役、兄・孝太郎はテレビに出ずっぱり やっぱり「数字を持っている」プラチナファミリー
女性セブン
調子が上向く渋野日向子(時事通信フォト)
《渋野日向子が全米女子7位の快挙》悔し涙に見えた“完全復活への兆し” シブコは「メジャーだけ強い」のではなく「メジャーを獲ることに集中している」
週刊ポスト
1966年はビートルズの初来日、ウルトラマンの放送開始などが話題を呼んだ(時事通信フォト)
《2026年に“令和の丙午”来たる》「義母から『これだから“丙午生まれの女”は』と…」迷信に翻弄された“昭和の丙午生まれ”女性のリアルな60年
NEWSポストセブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト