中国・四国地方を中心に深刻な被害をもたらした西日本豪雨に続き、8月に入ってからも観測史上初めて5日連続で台風が発生するなど、間断なく自然災害が列島を襲っている。「今後30年のうちに70%の確率で起きる」とされる首都直下や南海トラフなどの巨大地震のリスクも存在する。それに対する備えは急務だ。
地震対策でいえば、特に高齢者は倒れた家具を乗り越えるのにも困難を伴うため、「家具を固定具で留めるのを徹底するのが基本」(災害アドバイザーの高荷智也氏)だ。加えて確認したほうがいいのが、築年数だという。
「建築基準法の旧耐震基準を前提にした1981年以前の建物については、震度6強の地震では倒壊の危険があるので、補強工事が必要です」(同前)
ただ、大規模な補強工事をしようにも、手元に潤沢な資金があるとは限らない。そこで、NPO法人減災教育普及協会の江夏猛史・理事長が選択肢として示すのが「1部屋耐震化」だ。
「たとえば、昼間に長時間テレビをみている居間が1階にある場合、その部屋だけを“シェルター”として補強をする方法もある」
災害が起きると、固定・携帯電話ともにアクセスが集中し、回線がパンクしてしまう。このため安否情報を音声で残す“伝言板”として使われているのが、NTTコミュニケーションズが提供する「災害用伝言ダイヤル」(171番)だ。離れて暮らす親が心配な場合、「その使い方を紙に書いて親御さんに渡しておくなどするのが対策の基本になる」(前出・江夏氏)という。