物語はいよいよ終盤を迎えているNHK連続テレビ小説『半分、青い。』。クライマックスに向けてのストーリーは、ヒロイン演じる永野芽郁も驚いて台本をお風呂に落としたほどだという。目まぐるしいストーリー展開で注目を集めた同作は、どんな結末を迎えるのか。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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9月に入り『半分、青い。』の放送は、残り4週間を残すのみとなりました。
ここまでヒロインの楡野鈴愛(永野芽郁)は、小学3年生のときに左耳の聴力を失ってしまう。高校3年生のときに他校の生徒から告白されてデートしたにも関わらず、幻滅され失恋してしまう。
高校卒業後に上京したが、大学生の「マアくん」こと朝井正人(中村倫也)にフラれてしまう。萩尾律(佐藤健)の恋人・伊藤清(古畑星夏)と衝突したあげく、彼との関係性も壊れてしまう。漫画家になったが、連載を打ち切られ、廃業してしまう。同じ時期、4年前にプロポーズをされた律の結婚を知ってしまう。
アルバイト先の100円ショップで出会った森山涼次(間宮祥太朗)と結婚し、彼を支えながら長女・花野(山崎莉里那)を出産するが、夢をあきらめきれない彼に捨てられてしまう。実家に戻り、祖父・仙吉(中村雅俊)直伝の五平餅を売りにした「センキチカフェ」を作るが、従業員の健人(小関裕太)と妻・麗子(山田真歩)が働くことになり、職を失ってしまう。ともに相談相手だった仙吉と律の母・萩尾和子(原田知世)が立て続けに亡くなってしまう。
左耳の聴力から、恋の相手、漫画家の夢、運命の男性、夫、仕事と店、相談相手まで、鈴愛は「ロス」を重ねてきました。4月2日のスタートから5か月間、『半分、青い。』は、鈴愛がさまざまなものを失い続ける「ロス」の物語だったのです。
◆「ロス」続きの鈴愛が最後に「ゲイン」するのは?
ただ、残り4週間の放送では、ようやく「ロス」続きの人生から解放され、「ゲイン」する可能性がありそうです。
その筆頭は、同じ日に同じ病院で生まれた運命の相手・律。9月1日(土)の放送で律は、妻子とアメリカに行き、再び「ロス」を悲しむ鈴愛の姿が描かれました。しかし、週をまたいだ3日(月)の放送では、2年が経過し、律は帰国。しかも律はリーマンショックによって研究職から追われ、妻ともうまくいかずに離婚して子どもと離れ離れ……のダブルロス状態であることが予告されています。「ともに『ロス』続きの鈴愛と律が再会する」という展開になるようです。
今後は、放送前から制作サイドが「ヒロインが一大発明をなしとげる」と明かしていただけに、「岐阜犬」を考えるなど発想力のある鈴愛とロボット研究者の律が力を合わせて発明に挑むのは間違いないでしょう。仕事によって距離が近づいた2人は恋愛関係になるのか? これまで律は口にこそ出さないものの、「鈴愛を守るのは自分しかいない」という素振りを見せていただけに、2人の関係性が最後まで話題になりそうです。
鈴愛が最後に一大発明と律の両方「ゲイン」できれば、これまでの「ロス」は一気に解消されるでしょうが、ここまで急展開の連続で物議を醸してきた『半分、青い。』だけに、一筋縄ではいきそうにありません。たとえば、「東日本大震災はどのように描かれるのか?」「仙台にいる裕子(清野菜名)はどうなってしまうのか?」など、まだまだ鈴愛が「ロス」に見舞われそうなシーンも控えているのです。
◆「ロス」続きだったのは視聴者も同じ