ビジネス

低糖質カップ麺の熾烈な開発競争 カップヌードルに王者の風格

低糖質カップ麺はどんどんアップデートされている

 美味さの追求のみならずユーザーの健康にいかに寄与するか、が食品メーカーの至上命題になりつつある。いわゆるインスタント食品の市場とて例外ではない。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏がレポートする。

 * * *
「糖質オフ」対応のカップ麺がコンビニの棚で存在感を増している。

 存在感が明確に可視化されるようになったきっかけはなんと言っても日清食品の「カップヌードルナイス」シリーズだろう。2017年4月に「レタス約4個分相当」の食物繊維を練り込み、「脂質50%OFF」「糖質40%OFF」を掲げ、178kcalという低カロリーを実現。2500万食を売り上げ、今年のリニューアルでは176kcalとさらにカロリーを削り込んだ。

「カップヌードルナイス」は糖質の数字自体は大々的に喧伝していないが、従来品の「しょうゆ」に当たる「ポークしょうゆ」の糖質は18.8g(※)。一般的な糖質制限では一食あたりの糖質を10~20gに抑えることが推奨されていて、この範疇内に収まっている。

【※従来品は「炭水化物」表示のみで、そこに含まれる「糖質」単体での成分表示はないが、「40%OFF」だとすると従来品の糖質は31.3g前後だと推定される】

 そもそもカップ麺市場に「低糖質麺」を持ち込んだのは、「チャルメラ」などの定番ブランドを持つ明星食品だ。2015年5月に「明星 低糖質麺 はじめ屋 糖質50%オフ 醤油豚骨味」(長い!)というカップ麺で市場を開拓した。

 その2015年秋には早くも同商品をリニューアルし、新アイテムのタテ型「明星 低糖質麺 ローカーボNoodles」も投入。翌年の2016年3月には両ラインナップともリニューアルし、さらに翌年2017年2月には初の焼きそばタイプの「明星 低糖質麺 はじめ屋 こってりソース焼そば」を投入し、その後もリニューアルをかけている。商品発売後も、半年~1年に一度リニューアルをかけ続ける大リニューアル祭り状態なのだ。

 実は明星に続いて低糖質カップ麺市場に乗り込んだのはエースコックだった。日清に先んじること1か月、糖質を50%抑えた即席カップ麺「麺ごこち 糖質50%オフ 芳醇鶏だし醤油ラーメン」を投入し、ご多分に漏れず同年9月にリニューアル発売を行っている。

 低糖質カップ麺には象徴的な共通項がいくつかある。そのひとつ全ブランドに共通する「短期でのリニューアル新発売」だ。いずれのアイテムも発売から半年から1年以内にリニューアルをかけ、その後もリニューアルを繰り返す。その最大の理由は食味にある。

 言うまでもなく「カップ麺」の生命線は麺の食感と味わいこそが商品の生命線だが、各メーカーともここに苦心惨憺の跡が伺える。現在の糖質カット麺の主流は麺に食物繊維を加え、全体の糖質量を下げるパターンが多い。いわゆる「糖質」とは「炭水化物」から「食物繊維」を除いたものを指し、実際に成分表を見ても従来品とは段違いに食物繊維の量が多い。

 これまで小麦粉を中心に「味」「コシ」「伸び」に注意を払ってきたメーカーが、「糖質オフ≒食物繊維」という要素を盛り込んだ麺を開発しなければならなくなったのだ。糖質オフはトレンドではあるが、いつまでこのトレンドが続くか不透明な部分もある。となれば急ピッチで開発を進め、できる限り早くリリースし、ユーザーの求めに応じてアップデートを繰り返す。つまりスマホ当のアプリ開発におけるベータ版でのリリースのような展開も視野に入ってくるわけだ。

関連記事

トピックス

本格的に中国進出をめざすならば…(時事通信フォト)
《年内結婚報道》橋本環奈と中川大志の「結婚生活」に立ちはだかる“1万kmの距離” 2人の異なる“海外進出の希望先”
週刊ポスト
「池田温泉旅館 たち川」の部屋風呂に「温泉偽装疑惑」。左はHPより(現在は削除済み)、右は従業員提供
「水道水にカップ5杯の重曹を入れてグルグル…」岐阜県・池田温泉「高級旅館」の部屋風呂に“温泉偽装”疑惑 ヌルヌルと評判のお湯の真実は…“夜逃げ”オーナーは直撃に「誰からのリークなの? それ」
NEWSポストセブン
これまでジャズ歌手などとしても活動してきた参政党・さや氏(写真/共同通信社)
参政党・さや氏、歌手時代のトラブル証言 ジャズバーのママが「カチンときて縁を切っちゃいました」、さや氏は「そうした事実はない」…真っ向食い違う言い分
週刊ポスト
もうすぐ双子のママになる。Numero.jpより。
Photos:Mika Ninagawa
中川翔子3年にわたる不妊治療と2度の流産を経験 。 双子の男の子のママになる妊婦姿を披露して話題に
NEWSポストセブン
錦織圭とユニクロの関係はどうなるか(写真/共同通信社)
「ご本人からの誠意ある謝罪があった」“ユニクロ不倫”錦織圭、ファーストリテイリング広報担当が明かしたスポンサー契約継続の理由
週刊ポスト
趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
岐阜の「池田温泉旅館 たち川」が突然の閉鎖、事業者が夜逃げした(左は旅館のInstagramより)
【スクープ】岐阜県の名所・池田温泉の人気旅館が突然の閉鎖 町が運営委託した事業者が“夜逃げ”していた! 町長からは228万円の督促状、従業員が告発する「オーナーの計画」 給料も未払いに
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏は2017年にダブル不倫が報じられた(時事通信フォト)
参院選落選・山尾志桜里氏が明かした“国民民主党への本音”と“国政復帰への強い意欲”「組織としての統治不全は相当深刻だが…」「1人で判断せず、決断していきたい」
NEWSポストセブン
オンカジ問題に揺れるフジ(時事通信)。右は鈴木善貴容疑者のSNSより
止まらない「オンカジドミノ退社」フジテレビ社内で話題を呼ぶ
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン