その一連のプロセスに不具合が出るのが嗅覚障害だ。風邪や鼻炎などで鼻腔内の粘膜に腫れなどができる「気道性嗅覚障害」や、匂いの分子をキャッチする「嗅細胞」が機能不全に陥る「嗅神経性嗅覚障害」は、耳鼻科を受診してステロイドや亜鉛、ビタミンなどを処方されればほぼ改善する。

 厄介なのは、「鼻」ではなく、「脳」の機能不全が原因で生じる「中枢性嗅覚障害」だ。星薬科大学先端生命科学研究所特任教授の塩田清二氏が指摘する。

「『中枢性嗅覚障害』は、事故などで強く頭を打ちつけて匂いの情報をキャッチする脳神経が傷ついたり、切断されることで起こるケースと、その脳神経の感受性が悪化することで生じるケースとがある。前者は事故などのきっかけがあったり、わかりやすい外傷とともに起きるので病院で治療をしやすいが、怖いのは後者。自分ではなかなか気付きにくい上に、認知症や脳腫瘍などの疑いがあるからです」

◆食べ残しが増えた

 塩田氏によると、記憶や認知といった脳の機能と、嗅覚は密接に関連するという。

「人間は嗅覚、視覚、聴覚、触覚、味覚という五感を使って外界の状態を認識しますが、この中で嗅覚の情報だけは、脳の中枢部にある大脳皮質へダイレクトに伝わります。また、大脳皮質のなかでも、記憶や感情を管理する海馬や扁桃体の周辺にインプットされる」(塩田氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
地雷系メイクの小原容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「家もなく待機所で寝泊まり」「かけ持ちで朝から晩まで…」赤ちゃんの遺体を冷蔵庫に遺棄、“地雷系メイクの嬢”だった小原麗容疑者の素顔
NEWSポストセブン
渡邊渚さん
(撮影/松田忠雄)
「スカートが短いから痴漢してOKなんておかしい」 渡邊渚さんが「加害者が守られがちな痴漢事件」について思うこと
NEWSポストセブン
平沼翔太外野手、森咲智美(時事通信フォト/Instagramより)
《プロ野球選手の夫が突然在阪球団に移籍》沈黙する妻で元グラドル・森咲智美の意外な反応「そんなに急に…」
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)は被害者夫の高羽悟さんに思いを寄せていたとみられる(左:共同通信)
【名古屋主婦殺害】被害者の夫は「安福容疑者の親友」に想いを寄せていた…親友が語った胸中「どうしてこんなことになったのって」
NEWSポストセブン
高市早苗・首相はどんな“野望”を抱き、何をやろうとしているのか(時事通信フォト)
《高市首相は2026年に何をやるつもりなのか?》「スパイ防止法」「国旗毀損罪」「日本版CIA創設法案」…予想されるタカ派法案の提出、狙うは保守勢力による政権基盤強化か
週刊ポスト
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《累計閲覧数は12億回超え》国民の注目の的となっている宮内庁インスタグラム 「いいね」ランキング上位には天皇ご一家の「タケノコ掘り」「海水浴」 
女性セブン
米女優のミラーナ・ヴァイントルーブ(38)
《倫理性を問う声》「額が高いほど色気が増します」LA大規模山火事への50万ドル寄付を集めた米・女優(38)、“セクシー写真”と引き換えに…手法に賛否集まる
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
《再スタート準備》中居正広氏が進める「違約金返済」、今も売却せず所有し続ける「亡き父にプレゼントしたマンション」…長兄は直撃に言葉少な
NEWSポストセブン