「がん」が多くの命を奪う“人類の敵”となって以来、世界の医療関係者は「発生原因」を探るべく様々な研究を重ねてきた。その結果、先天的な遺伝要因のほかに、「喫煙」や「飲酒」といった生活習慣が、がんリスク原因として指摘されるようになった。
しかし、それらと無縁の人であってもがんを発症してしまうケースは少なくない。そこで近年、より具体的かつ細分化された研究が活発に行なわれている。国立がん研究センター・社会と健康研究センターの津金昌一郎センター長がこう話す。
「がん発症リスクを上昇させる可能性のある生活習慣については、近年、国内外で非常に多くの研究がなされており、エビデンスが積み重なってきたことで信頼性が高まりつつあります。つまり、がん予防に繋がる習慣が判明しつつあるといえます」
そこで今回、「がんになる生活習慣」に関係する統計(疫学)データを調査したところ、日々の何気ない行動の積み重ねが体に蓄積し、がんに結びついてしまうことが分かった。
オックスフォード大学などがイギリス人43万584人を6年間追跡調査したところ、1日5時間以上テレビを視聴していた人は、1時間以内の人に比べ、大腸がんになるリスクが35%高かった。秋津医院院長の秋津壽男医師が指摘する。
「座ってテレビを見ると、運動不足になり体重や体脂肪率が増加するうえ、手が空いているので間食や飲酒などの“ながら視聴”が習慣になり、大腸がんのリスクが増すと考えられます」