9月9日に初日を迎える大相撲秋場所を前に、8場所連続休場中の横綱・稀勢の里の“完全復活”を印象づける報道が相次いでいる。8月26日に全日程が終了した大相撲夏巡業では、昨年秋巡業以来の皆勤を果たし、各スポーツ紙には「組んで良し、離れて良しと多彩な攻めを披露」「ハードな巡業朝稽古を打ち上げた」といった記事が並んだ。
なかには「関脇・御嶽海ら6人と計114番とって96勝18敗。『引き続き2週間やっていけば面白いと思う』と(稀勢の里が)進退のかかる秋場所への手応えを口にした」(スポニチ8月26日付)と、巡業中の通算成績を報じる記事まであった。15日間に“換算”すれば確かに12勝3敗。優勝の可能性もありそうだ。
だが、「巡業の成績なんてアテにならない」と若手親方の1人は吐き捨てる。
「駆け引きをしながらガチンコでぶつかり合うこともなく、胸を合わせてがっぷり組み合うことがほとんど。体の大きい力士が勝つことが定番となっている。勝った負けたの番数を数えても全く意味がない」
午前8時半に朝稽古の申し合いが始まり、その後、土俵入り、取組と続き、午後3時には打ち出しとなる。その後はすぐにバスや新幹線で次の巡業場所へ移動。
「現在のようなタイトなスケジュールではガチンコになるはずがない。体が汚れると時間がかかるので、投げは敬遠され、決まり手は寄り切りや押し出しばかり」(同前)
しかも、稀勢の里の相手となった6人が問題である。