第22週(8月27日~9月1日)の週間平均視聴率が22.3%の番組最高を記録するなど好調が続くNHK連続テレビ小説『半分、青い。』。この注目作に出演しているくりぃむしちゅーの有田哲平が独特の存在感を放っている。“役者・有田哲平”についてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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有田哲平、『半分、青い。』出演。役柄は、主人公の鈴愛(永野芽郁)の勤め先の経営者・津曲雅彦である。もともと鈴愛が作ったしゃべるぬいぐるみ“岐阜犬”を商品化したいと申し出た人物。白いジャケットにダークな色のシャツ、そこに黄色いネクタイを合わせるあたり、かなり独特なセンスだが、東京の廃校を利用したシェアオフィスで、一発当てる夢を持っていたらしい。だが、津曲の会社は…。
さて、ここで注目したいのは、これだけヒロインを翻弄する役でありながら、有田がそれほど目立たなかかったことだ。真ん中分けで口の端を上げてにやりとする津曲は、どこかお調子者で油断ができない。面白い役だ。だが、あまりに有田のキャラにぴったりしすぎて(ちなみにしっかりあて書きされている)すんなり居続けてしまった感じがする。
このコラムでは、以前、このドラマは、青二才、青臭い、尻が青い男たちの「青」、夢追い男たちの物語だと書いた。鈴愛の師匠・秋風(豊川悦司)→マンガ、鈴愛の元夫(間宮祥太朗)→映画、鈴愛の元勤め先の店長(嶋田久作)→ミュージシャン、そしてダメ押しのごとくでてきたのが、モノづくりに夢を抱く津曲である。夢追い男にそうそうびっくりしなくなったんですな、我々は。
思えば、有田は、昨年、TBSの深夜ドラマ『わにとかげぎす』で初主演。38歳にして突如、友達が欲しいと考え、ホームレスのおやじ、ヤクザやストーカーなどやっかいな人物たちと騒動に巻き込まれる童貞男・富岡を独特の空気で演じた。あまりに個性的な役と設定(本田翼演じる超変わり者の若い娘に一目ぼれされて猛アタックされる)だったため、有田は、こういう濃厚な役を選んで俳優業をしていくのだと思えた。だが、富岡が「どこにでもいそうだが、どこにもない経験をする男」であるのに対して、津曲は「どこにもいなさそうだが、結構よくある経験をする男」という点で、役柄は対照的。放送時間も深夜と朝で正反対のドラマを選んだところが興味深い。