2013年11月、耳慣れない研究成果が社会的なニュースとなって世間の耳目を集めた──「ミドル脂臭」である。
それまで「中年になると加齢臭が発生する」と思われていたが、30代半ば~40代男性には「加齢臭」とは別の「臭い成分(ジアセチル)」が発生していることを、世界で初めて解明した。
昨年90周年を迎えたマンダムが本格的に体臭研究を始めたのは2006年から。機械だけに頼るのではなく、いろいろな部位のニオイを直接嗅いで測定、分析している。
「2006年当初、研究員は5名でした。体臭の種類や強さを分析していくことはマンダムでは初の試みでしたが、臭いを分析するといっても、その方法すらわかりませんでした。試行錯誤しながら、夏場に4日間で120人のワキと足の臭いを嗅ぎました。臭気判定をする研究員は臭いの強度や種類を嗅ぎ分ける訓練から始めます。正しく評価ができるようになるまで、一般的に3年くらいかかります」(マンダム基盤研究所生理解析研究室・原武史主事)
合格率約20%の国家資格「臭気判定士」の資格を持つ研究員が中心となり、頭やワキなど様々な部位の臭いを嗅ぐ。
体臭という掴みどころのない対象に日々向き合い、これからも“ニオイのメカニズム”を解き明かす。
※週刊ポスト2018年9月14日号