「がん」が多くの命を奪う“人類の敵”となって以来、世界の医療関係者は「発生原因」を探るべく様々な研究を重ねてきた。その結果、先天的な遺伝要因のほかに、「喫煙」や「飲酒」といった生活習慣が、がんリスク要因として指摘されるようになった。
食事習慣も、がんリスクを左右する。例えば、肉を中心とした欧米型食生活は「がんリスクを増す」と指摘されてきたが、理由は明らかになっていなかった。
そこに一石を投じたのが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究だ。腎臓がんの患者659人と健康な人699人の食生活を調査したところ、腎臓がんの患者は肉の摂取量が多かった。
さらに同センターが注目したのは、肉を直火のバーベキューや高温のフライパンなどで調理するときに生じる発がん性物質だ。
その結果、高温調理した肉を食べることで発がん性物質を多く摂取している人は、摂取量が少なかった人に比べて腎臓がんリスクが最大で約2倍(95%増)になっていた。
「腎臓は体内の有害物質をろ過するフィルターの役目があるため、発がん性物質の影響を大きく受けやすく、がんの罹患率が高くなったと推測されています」(秋津医院院長の秋津壽男医師)