類い希なる味覚を持つ、一流料理人たち。そんなシェフ行きつけの「ラーメンの名店」を教えてもらった。“世界のミクニ”として知られるフランス料理『オテル・ドゥ・ミクニ』の三國清三シェフが長年通っているのは、東京・有楽町にある『芳蘭』。ここで味噌バターラーメンを食べるのだという。
創業は昭和49(1974)年。店内には各界の著名人のサイン色紙が壁一面にずらりと並び、長年多くの人に愛されてきたことがうかがえる。直径約26センチの大きな器で供されるのは、昔ながらの札幌味噌ラーメン。豚骨と鶏ガラをベースにしたスープには、利尻昆布や日高昆布をはじめ、タマネギ、ショウガ、ネギなどの野菜の旨みが溶け込む。
濃厚な味の中にもまろやかさがあるスープは、札幌から空輸する中太ちぢれ麺によく絡み、するすると胃袋に収まっていく。溶け出すバターがコクを加え、食べ進めるほどに身体が芯から温まる。三國シェフが語る。
「北海道から上京し、帝国ホテルで夜遅くまで働いていた18歳の時から約45年間通い続けています。食べるのは一貫して『味噌バターらーめん』。味噌にはバターが非常に合い、バターがスープに溶けていくと、こってり、とろっとした風味が深みを増していきます。具材もたっぷりで最高。定期的に食べたくなると同時に、初心を思い出させてくれる懐かしい味です」
◆古典札幌柳麺 芳蘭
・住所/東京都千代田区有楽町1-2-9 TS日比谷ビルB1
・営業時間/月~土:11時~翌2時。日・祝:11時~24時
・定休日/無休
※週刊ポスト2018年9月14日号