安倍晋三・首相の経済人脈には、財界主流から若手経営者までいくつかのグループがあるが、お友達のインナーグループに入らなければ政権の肩入れを受けることができないのだから死活問題だ。
財界人の序列を見ると、別格は牛尾治朗・ウシオ電機会長だろう。首相の兄・安倍寛信氏(三菱商事パッケージング社長)の舅という安倍家とは姻戚関係にあり、今年6月、東京三田のフランス料理店「ジョエル・ロブション」で開かれた母・洋子さんの卒寿を祝う会にも出席した。
そして序列上位で安倍政権の後ろ盾として政権に隠然たる影響力を持つのが葛西敬之・JR東海名誉会長、古森重隆・富士フイルムホールディングス会長、茂木友三郎・キッコーマン名誉会長らを中心とする保守派財界人グループだ。葛西氏らは首相が若手の頃から「囲む会」を開いて応援してきた。
そのメンバーの1人だったのが中西宏明・日立製作所会長で、今年、「財界総理」と呼ばれる経団連会長に就任したのは安倍氏との人脈が大きな決め手になったという見方もある。
政策面でも、中西氏の日立や葛西氏のJR東海は、安倍政権が掲げる新幹線や原発などインフラ輸出政策の旗振り役となって強力に推進している“勝ち組”企業だ。
首相とのつきあいが深い「悪だくみ」グループでは、加計孝太郎・加計学園理事長が安倍政権の特区構想を“追い風”にして岡山理科大獣医学部の新設と巨額の補助金を手にしたことは言わずもがなだろう。
※週刊ポスト2018年9月14日号