日夜、世界中の医療機関が「がん予防」の研究に取り組んでいる。その中で分かってきたのは、がんを発症する原因は「日々の何気ない生活習慣」に潜んでいるとする調査結果だ。
例えば、1日5時間以上テレビを視聴していた人は、1時間以内の人に比べて大腸がんになるリスクが35%高くなるという調査結果や、肉を直火のバーベキューや高温のフライパンなどで調理する人は、腎臓がんリスクが最大で約2倍(95%増)に高まるとの調査結果もある。
日々の行動や食事は自分で改善できるが、ときには周囲とのコミュニケーションががんリスクを上昇させるケースがあるという。
ストレスの高まりは免疫力を低下させ、がんを誘発する。それを統計データで示したのが、国立がん研究センターが40~69歳の10万1708人を平均17.8年追跡した調査だ。
自覚するストレスのレベルを「常に高い」「常に低い」「高が低・中に変化した」「低・中が高に変化した」など長期的な変化に応じて調査すると、「常に高い」と感じている男性は、「常に低い」と感じているグループより肝臓がんリスクが33%、前立腺がんリスクが28%上昇しており、全がんリスク平均で19%上昇した。
同研究を行なった、国立がん研究センター・社会と健康研究センターの津金昌一郎センター長がこう話す。
「ストレスを感じると、体内の免疫機能が低下するといわれています。そのため、本来ならば免疫細胞で対処できるはずの『初期のがん細胞』の増殖を抑え込めなくなり、がんに罹患するケースが増えてしまったのではないでしょうか」