異物混入問題から立ち直り、目覚ましい業績回復(2015年12月期は234億円の営業赤字だったが2017年12月期は189億円の営業黒字)をみせる「マクドナルド」に対し、外資系チェーンの攻勢にも遭い苦戦が続く「モスバーガー」──。いまハンバーガー業界のトップ2は完全に明暗が分かれているが、そんな両チェーンがともに力を入れているのが、“ご当地バーガー”の開発だ。果たして地域密着キャンペーンにはどんな狙いがあるのか。ジャーナリストの河野圭祐氏がレポートする。
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数年前、鶏肉の期限切れ問題等でどん底状態にあった日本マクドナルド。そのため、一時期は店舗閉鎖ラッシュとなって、米国の本社が日本マクドナルドを見限って売却するという観測もあったほどだった。それが昨年12月期には一気にV字回復を遂げ、出店数から退店数を引いた純増に転じ、攻勢をかけている。
一方、ハンバーガー業界2位のモスフードサービスは、マクドナルドの敵失の際、攻めに打って出るチャンスを得たが、逆に最近は防戦、守勢に回り、目下攻勢に出ているのはバーガーキングやフレッシュネスバーガー、ウェンディーズ・ファーストキッチンといった中堅チェーン、それにシェイクシャックをはじめとした外資系の高級バーガーチェーンという構図だ。
そんな中、今夏はマクドナルドとモスとで、さながら“ご当地バーガー攻防戦”の様相を呈した。
マクドナルドのほうは、8月8日から9月上旬(予定)までの期間限定で、同社としては初となる「ご当地グルメバーガー祭り2018」を展開。「宮崎名物チキン南蛮バーガー」は全国で展開、あとは日本を東西に分け、東日本限定で「名古屋名物みそカツバーガー」を、西日本では「金沢名物黒カレーカツバーガー」を投入(3商品ともに税込み390円)。
マクドナルドは昨年夏も「マックなのか?マクドなのか?おいしさ対決!」という、ちょっと変わったキャンペーンを行っている。これは、マクドナルドの愛称が関東ではマック、関西ではマクドが多いことに着目し、マック軍とマクド軍に分かれて、それぞれ「東京ローストビーフバーガー」と「大阪ビーフカツバーガー」を期間限定販売し、美味しさの勝敗をツイッターの数で決めるという、ユニークなものだった。
こうした仕掛けは、マーケティングや販促に長けたマクドナルドらしいものといえたが、ある異業種の社長はこのキャンペーンを見て、「マクドナルドさんはいいところに目をつけましたね。いまの時代、全国一律のマーケティングでなく、いわば“マイクロマーケティング”にどの企業も必死ですから」と語っていた。