今週からは4回中山・阪神の2場開催。目玉は3歳GIのトライアルレースと最終日のGIスプリンターズステークスだが、中央競馬生き残りをかけた3歳馬の意地の走りも見逃せない。競馬歴40年のライター・東田和美氏が、“スーパー未勝利”に挑む3歳馬たちについて考えた。
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競走馬は早ければ2歳の6月にデビューする。そして3歳秋のこの開催が終わるまでに少なくとも1回勝たないと、その後JRAのレースに出走するのは難しくなる。かつて特別レース以外のほとんどが「3歳(4歳)未勝利」だった秋の福島開催では、多くの未勝利馬が救済されたが、現在「3歳未勝利」はこの開催までしかない。
このレースに出られるのは、「通算出走回数が5回以下の馬」か「直前に出走した平地競走で5着以内に入った馬」だけ。出走資格が限定されるため、これまでの3歳未勝利戦にくらべてレベルも高くなることから“スーパー未勝利”などと呼ばれている。素質がありながら故障などで出遅れていたり、あと一歩で勝ちきれなかったりという馬が多く集まってくるわけだ。そのため、レースも一筋縄ではいかず、たびたび高配当をもたらしてくれる。
とはいえ未勝利は未勝利。そもそもすでに年下の2歳馬が続々とデビューして勝ち上がり、重賞勝ち馬も出ているわけだし、同年代のエリートは遥か先を走っている。新馬→特別(500万またはOP)と連勝すればエリート、さらに重賞を勝って3連勝すればスーパーエリートといわれるが、今年のダービー馬ワグネリアンは2歳11月時点でこれを達成している。そんなエリートたちを仰ぎ見ながら、走る度に文字通り他馬の後塵を拝してきた馬たちが、最後の闘いに挑むのだ。