いじめやDVなどの被害に遭っている場合、相手に内緒で録音や録画をするのは正当な防衛行為であり、後ろめたく思う必要は全くない。ここでは、被害のケース別に、録音・録画の正しい録り方を解説する。
【いじめ】
いじめ問題の解決は録音・録画の証拠が重要だ。レイ法律事務所の弁護士・松下真由美さんはこう説明する。
「息子が同級生からお金を盗られているのではないかと疑いを持ったある母親が、自宅にカメラを設置。自分の留守中に遊びに来た友達の姿を撮影したんです。カツアゲの現場は撮れなかったのですが、言葉のやりとりからいじめが判明したケースがありました」
いじめの場合、被害者本人がその現場を録画するのは難しいため、この例のように、親が手配するのも手だ。長年いじめ調査に取り組んできたT.I.U.総合探偵社の阿部泰尚さんはこう話す。
「小学校高学年以上なら、操作方法が理解できるので、被害者自身に録音・録画をさせられます。その場合、家を出る前から帰宅するまで録り続けることが大切」
現場で操作すると機器が見つかる恐れがあるが、録りっぱなしなら、いじめの瞬間も逃さず、チャイムの音などで発生時刻も推定できるからだ。
■ポイント
・小学校高学年以上なら、本人自ら機器の操作ができる
・家を出てから帰宅まで録り続ける
・自宅内でいじめられる可能性があるなら、室内にカメラを設置
【DV】
DVの場合、傷があっても相手の一見穏やかな人柄にだまされ、周囲から信じてもらえない、あるいは相手から否定され、こちらの主張が通りにくいといったケースは多い。証明するには、録音より録画の方が確実だ。
「録音だと、殴られていても、何を殴っている音かわからず、しかも相手に否定されたら証拠になりづらいんです。相手が家にいる時は常に録画をし続け、被害に遭う瞬間を撮り漏らさないようにしましょう」(松下さん)
問題は、カメラをどこに置くかだが、阿部さんはこうアドバイスする。
「例えば掛け時計の中など、長年家にある家具に取り付けるか、普段決して相手が触らない場所に設置を。足下や天井近くに設置する場合は、広範囲が撮れる魚眼・広角レンズがおすすめ。連続撮影時間が長く、電池の持ちがよいカメラを選ぶとよいでしょう」
■ポイント
・DVの場合は録音より録画
・相手が在宅している時は撮りっぱなしに
・広範囲を撮影できる魚眼・広角レンズのカメラを、相手が普段触らない場所に設置する
※女性セブン2018年9月20日号