近年、ブームになっているのが散骨。故人の遺志はなるべく実現してあげたいものだが、遺された人間に過剰な負担になるようなら、それはそれで問題だ。自分は散骨をしてもらいたいものの、子どもたちが反対した場合、どうすれば散骨は実現できるか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
子供と喧嘩になっています。原因は散骨。私は散骨してほしいと願っているのに、子供らは大反対。先祖代々の墓に埋葬したいといっています。そのほうが墓参りしやすいとの理由からです。でも、私は許可された山か海で静かに眠りにつきたい。散骨してほしいと子供らに遺書を残しても、願いは叶いませんか。
【回答】
個人的には、お子さんたちの考えは立派だと思います。老いては子に従えといいますが、死後のことであれば、なおさらではありませんか。それでも散骨を望むのなら、まず散骨してくれる人を見つけてください。散骨引受人がいれば、その人に祭祀財産としての遺骨の承継者になってもらうのです。
遺骨は所有権の対象になりますが、埋葬したり、祭祀供養のためにのみ所有されるもので、通常の相続の対象にはならない祭祀に関わる財産です。遺骨の祭祀を承継するものが、その所有権を取得するという考えが有力とされています。そして、祭祀の承継者は被相続人が指定できます。そこで、あなたが散骨引受人をあなたの遺骨の承継者と指定すればよいのです。指定を明確にするため、公正証書を作成するのがよいでしょう。