「東洋のハワイ」と謳われる韓国の済州島に、遠い中東からやってきたイエメン難民が殺到し、衝撃が走っている。
済州島には、内戦状態のイエメンから近隣諸国を経てマレーシアまで逃げてきた人々が、次々と来島し、難民申請を出している。済州島では2002年以来、観光促進のため諸外国からの旅行者に対し、30日までノービザで滞在できる制度をとっている。そして、2017年12月にはマレーシアのクアラルンプールと済州島をつなぐLCCの直行便が就航したのだ。
イエメンでは2015年来、フーシ派と呼ばれるシーア派の武装勢力と暫定政権との間で内戦が繰り広げられているのだ。フーシ派の支配地域では、若い男は戦士として徴用されるか、処刑も含めた弾圧をこうむるという。難民の多くを男性が占めるのにはこうした事情もある。
韓国では、「済州難民対策道民連帯」という団体が難民受け入れ反対運動を牽引し、難民申請者に国民並みの法的地位を与える難民法と政府を批判。一方、カトリックの団体などが難民支援活動を行っている。
済州市の観光ホテルのキム・ウジュン社長も、熱心な難民支援者の一人だ。部屋を安価で提供し、自炊用に地下の食堂を開放したこのホテルには多くのイエメン人が集まっている。キム社長は「彼らが韓国にいる間は生活できるようにすべきです。韓国だって、植民地時代には満州に逃げた人もいるし、済州島の場合、四・三事件の時に日本に逃げた人が大勢いました。それと同じで、政治的な混乱から生きのびるために来た人たちなんですから」と語った。また、カトリック済州教区・移住司牧センターのキム・サンフン局長も無料診療、住居提供、韓国語講習などの活動を行っている。