日本で育てられている牛は安心・安全だから一番健康的なはず──必ずしもそうとはいえないようだ。
「高齢者の健康という観点からすると、国産牛よりも放牧で育つオーストラリアやニュージーランド産の牛肉のほうが、老化や心臓病を予防するオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています」(斎藤医師)
牛肉を分けるポイントは「餌」だ。国産牛にはとうもろこしや大豆、ふすま(小麦粉を作る際に出る皮のくず)を与えることで、肉質に甘みや深みが出る。一方のオーストラリア産牛は天然牧草を主食とするため、においが強く、肉質も固い。
「国産牛は味を良くするために穀物を与えられていますが、牛は草食動物なので餌は穀物より牧草のほうが健康には適している。牛の健康状態が食物としての栄養にもつながると考えられています」(斎藤医師)
脂っこい肉は胃にもたれるかもしれないが、焼き肉では「カルビ」を積極的に食べたほうがよさそうだ。
「カルビの脂に含まれるアラキドン酸は脳の細胞膜に作用して学習能力や記憶力を高める効果があり、実際に長寿でカルビを食べている人は多い。ただし食べ過ぎは高血圧を招く可能性があるので要注意です」(斎藤医師)