競技団体から退いても、いまだ“威光”を照らす人物もいる。
モントリオール五輪柔道金メダリストの上村春樹氏は、2009年から講道館館長と全日本柔道連盟(全柔連)会長を兼任。代表選考を担った。2013年に連盟内で女子選手へのパワハラ問題や助成金の不正受給など、不祥事が続出したため、同年8月に会長職を引責辞任。現在はロス五輪金メダリストの山下泰裕氏が会長を務めているが、上村氏の影響力は顕在といわれている。
「講道館は全国の柔道家に段位を与える唯一無二の権威で、『逆らえば昇段が止まる』と言われるほど。段位の認定料も各都道府県の連盟を通じて講道館に集約される。全柔連の組織が講道館のビルの中にあるように、両団体は表裏一体といっていい。上村氏が講道館館長の座にある限り、柔道界は彼の力を気にするでしょう」(元代表選手)
かつて「フィギュア界の女帝」と呼ばれた日本スケート連盟元理事の城田憲子氏も、衰えぬ影響力があるという。
「アイスダンスの選手として全日本選手権を連覇した実績を持つ彼女は、1994年にフィギュアの強化部長に就任。伊藤みどりらを育てた実績が評価され、コーチ人事や選手の派遣について発言力を持つようになった。2006年にスケート連盟で起きた巨額使途不明金問題を受けて引責辞任しましたが、近年、“復権”の兆しが見えます」(フィギュア関係者)