宮崎で開催されたU-18アジア選手権(9月3~9日)に挑んだ高校日本代表にあって、注目度も活躍も抜きん出ていたのは、吉田輝星(金足農)、根尾昂と藤原恭大(大阪桐蔭)、小園海斗(報徳学園)という今秋のドラフト1位候補たちだった。
しかし、この舞台に悲壮な覚悟で臨んだ選手もいた。明徳義塾のエースにして、サイドハンドから鋭いスライダーやシンカーを多投する市川悠太だ。
「(高知大会で敗れて)この夏の甲子園に出られなかった自分にとっては、大事な最後のアピールの場。(今秋のドラフトでは)一つでも上の順位で指名されたいという気持ちはあります」
ドラ1ともなれば契約金1億円に出来高5000 万の満額契約も夢ではない。一方で、市川のような下位指名の候補も、順位がひとつでも上がれば、手にする契約金や年俸が百万円単位で変動し、入団後の起用法も変わってくる。
昨年のU-18ワールドカップでは、秀岳館の田浦文丸(現ソフトバンク)が一気に株を上げた。ブレーキの利いたチェンジアップを武器に13回3分の2を投げ、投球回の倍以上となる計29三振を奪ってベストナインを獲得した。ある球団スカウトが語る。
「最下位あたりの順位での指名が予想されていた田浦は、W杯での活躍によって、指名順位が5位にまで上がった。当然、今年のアジア選手権でも、活躍によっては評価が一変する選手の登場を待っています」