橋本龍太郎首相(当時)が実行したかつての中央省庁再編(2001年)。17年後のいま、再び省庁を再編する議論が盛んになっている。経営コンサルタントの大前研一氏が、総務省をどのように再編すべきか、自身の考えを述べる。
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以前、2001年の「橋本行革」による中央省庁再編の最たる間違いは厚生労働省だと指摘して再分割を提案したが、橋本行革には他にも多くの間違いがある。
まずは総務省だ。同省は旧自治省、旧郵政省、旧総務庁を統廃合した役所で、外局として郵政事業庁や消防庁などが設置された。このうち旧自治省は、その名の通り、もともと地方自治を所管する役所だったが、拙著『君は憲法第8章を読んだか』(小学館)で詳述したように、日本の地方に憲法上「自治」はなく、我々が「地方自治体」と呼んでいる都道府県や市区町村は、実際には立法・行政・司法の三権が与えられていない「地方公共団体」でしかない。それを所管する旧自治省が総務省に組み入れられた結果、いっそう地方自治はうやむやになってしまった。
しかも、総務省とは別に「地方創生担当相」を新設し、屋上屋を架している。私は設置から4年経っても成果が出ていない地方創生担当相は廃止し、総務省を解体・分割して旧自治省の機能を拡充した役所を再び独立させるべきだと思う。
その役目は地方が繁栄するために必要な政策の企画・立案だ。具体的には人口1000万人規模の「繁栄の単位」の設計である。なぜなら、いま世界で繁栄しているのは、中国の巨大な知識集約型IT都市・深センやアメリカのサンフランシスコ・ベイエリアなど人口1000万人規模の「メガシティ」「メガリージョン」だからである。