終末期や死後について生前に備える「終活」で、ここ数年、新たな問題として浮上しているのが、パソコンやスマートフォンといった機器の中に眠っている「デジタル遺品」の扱いだ。目に見えないものだからこそ気をつけたい、その管理法とは──。
一定期間以上パソコンやスマートフォン(以下スマホ)にアクセスがなかったら、内密にパソコンからデータを消し去ってくれる。ドラマ『dele』(テレビ朝日系)で、山田孝之(34才)と菅田将暉(25才)のコンビはいわゆる“デジタル遺品”の抹消を生業にしている。
パソコン、スマホ、デジカメ…デジタル機器の普及に伴い、私たちは、日々の出来事や思い出をそれらの中になんの気なしに残している。が、自分の死後、それがどうなるか考えたことがあるだろうか。他人には(ましてや家族には!)決して見られたくないものが誰しもあるだろう。
そうしたデジタル遺品の抹消・処理をテーマとした同ドラマは、回を重ねるごとに話題を呼び、いよいよ最終話を迎えた。
◆「パソコンやスマホを残して死ねますか?」と聞かれると、大半は「ノー」
日本デジタル終活協会代表理事の伊勢田篤史弁護士はこう話す。
「このドラマのように、死後、一定の時間が経ったらデータを削除するというビジネスで実績を挙げている会社は、今のところほとんどないように思います。でも、『パソコンやスマホを残して死ねますか?』と聞かれると、大半の人は『ノー』と答えます。つまり、なんとかしなければいけない、と思っている人がほとんどです。にもかかわらず、準備をしている人は非常に少ないのです」
そもそもデジタル遺品には2種類あるという。それは「残したくないもの」と「残さなければいけないもの」だ。
「残したくないものには、一般的には自分自身が恥ずかしいものと家族を傷つけるようなものの2種類が存在するといえます。前者としては、例えば男性であれば大半が持っていると思われるアダルトコンテンツ。女性の中には、日々つけている体重の記録を絶対に見られたくないという人もいます。一方、家族を傷つけるようなものとしては、いちばんわかりやすいものでいえば、不倫相手との写真などがあげられます。