社会のいたるところに、あらかじめ定められた「数字」がある。普段は“前提”として気にもとめないが、その数字を少し変えてみると──実は国のあり方を大きく変える“パワー”が生まれるかもしれない。例えば、国会議員の定数を見直すとどうなるか。
衆議院465人、参議院242人、計707人の国会議員について“定数削減が必要だ”とする論調が強い。しかし、憲法学が専門の神戸学院大学の上脇博之教授は正反対の意見だ。
「国会は国民の縮図です。終戦直後、有権者の数は3000万人台でした。そこから1億人超にまで増加したのに、国会議員の数はほとんど増えていない。国会が“日本の縮図”になっていないんです。私は、1000人まで議員の数を増やすべきだと考えます」
議員報酬はどう賄うのか。
「年間300億円を超える政党助成金が支払われていますが、党本部が選挙資金として積み上げるばかりで、有効に使われていない。これを一切なしにする。国会議員1人あたり、議員報酬・公設秘書費用、立法事務費などで年間1億円弱かかると言われています。単純計算すると、政党助成金の分で300人の費用を捻出することが可能です。
もちろん、政権言いなりの国会議員を増やしても無駄です。議員定数を増やした上で、民意をしっかりと反映させ、政権を監視するために選挙は『完全比例代表制』にする」(同前)