「効くかどうかわからないけど、とりあえずのんでみるか」。そんな軽い気持ちで「健康食品」を摂取する人も多いだろう。しかし、そこには「副作用」という落とし穴があることをご存じだろうか。
そもそも「健康食品」とは何を指すのか。食品衛生法第4条では《食品は医薬品、医薬部外品以外のすべての飲食物をいう》としているが、「健康食品」に明確な定義はないのだ。
いわゆる「トクホ(特定保健用食品)」や、商品パッケージに《脂肪の吸収をおだやかにします》などと記載できる「保健機能食品」は消費者庁長官の許可や届け出が必要だ。しかし、ドラッグストアやネット通販で購入する健康食品のほとんどは、錠剤やカプセルのような形状をしていても、それらに該当しない、いわば、“一般の食品”。しかし、広い意味では「健康食品」に該当するのだ。
◆濃縮エキスで「過剰摂取」の危険
健康食品の中でもいわゆる「サプリメント」は大きな比率を占める。とはいえ、日本では健康食品のそれと同様に、サプリを定義する明確な規定がない。たとえば米国では「ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブ等の成分を含み、通常の食品と紛らわしくない形状(錠剤やカプセル等)のもの」などと成分や形に関する規定がある。日本も事実上、それに準じているといっていい。摂りたい栄養素を錠剤で簡単に補うことができるものを一般的に「サプリ」と呼び、各社から販売されているのだ。
特に女性に人気のあるショウガ成分を含んだサプリ。ある商品には、《冷房が苦手の方に》《あたため成分配合》といった血行の促進や便通改善など女性に多い悩みを解消してくれるとの“売り文句”が記載されている。もちろん、古くから食卓に上る食材で、安全性は高い気がするが…。
「ショウガのサプリメントや乾燥ショウガは、成分が思いのほか含まれているので、5g以上摂取すると腹部の不快感や胸焼け、下痢などの副作用が起きる可能性が高まると報告されています」(医療ジャーナリスト)
ショウガに限らず、乾燥させたり、濃縮エキスにしたりすると「過剰摂取」の危険が高まる。『「健康食品」のことがよくわかる本』(日本評論社)の著書がある、国立医薬品食品衛生研究所の畝山智香子(うねやま・ちかこ)さんが説明する。
「女性は特に『レモン30個分のビタミン』などの言葉がお得だと感じてしまいやすい。多ければ多いほどいいと思いがちですが、むしろ健康を損なうことにつながる危険があるのです」