低価格のカジュアル衣料品を販売するジーユー(GU)が、“試着専門店”(購入はスマホアプリなどを経由して注文)を東京・原宿にオープンさせると発表した。近年、若者を中心に洋服もネットで購入する層が増えているが、果たして実店舗のショールーム化によって消費者の利便性は高まるのか。ファッションジャーナリストの南充浩氏がレポートする。
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ジーユーが今年11月にオープンさせると発表した試着専用のショップ。全型商品が揃っていて、店内で触ったり試着したりして気に入った商品をその場からネットで注文し、自宅や最寄り店舗などで受け取る仕組みとなります。
古くは「クリック&モルタル」と呼ばれ、最近だと「オムニチャネル」と呼ばれる形態ですが、ネット通販に慣れていない人からすると、まだるっこしく、何がすごいのか分からないと感じられると思われますが、最近流行りのネットとリアルの融合した形です。
目に見えるメリットとしては、たくさん買っても重い荷物を持って帰らなくても良いということぐらいでしょうか。しかし、他方、明日すぐにでも着たいという場合は間に合いませんから、一長一短はあります。
著者は現時点に限れば、ジーユーにはこのシステムは必要ないと思います。結論から言ってしまえば、今回の出店は将来に向けたテストパターンでしょう。この店舗だけで絶大な効果があるとは考えられませんし、利便性が飛躍的に向上するとも考えられません。中長期的な視点に立った布石だと見るのが適切でしょう。
そもそも、ネット通販での購入が前提となる「試着専用店」という形態は、ジーユーが開発したものではありません。
すでに今年5月9日~8月29日まで、ZARAも六本木に期間限定店として試着専用店を出店しています。ではZARAが考え出したアイデアかというとそれも間違いで、元はアメリカ・サンフランシスコに本社を置くネット販売専用ブランド「エバーレーン」が設けたのが最初です。
では、どうしてネット通販専用ブランドに試着専用店が必要だったのでしょうか。そのメリットとデメリットを考えてみましょう。