官僚たちが世間を賑わす事件が相次いでいる。高度経済成長の立役者と言われた官僚機構はなぜ崩壊したのか。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏と思想史研究者・慶應大学教授の片山杜秀氏が語り合った。
片山:いままで省庁同士が対立しても、互いの利害や異なる意見を集約して折り合いをつけて、客観的な均衡点を見出してきた。その均衡点に対し、外部の評価も入った。しかし内閣府に権力が集まると、これまで担保されていた透明性や合理性が無視されてしまう。
佐藤:そう説明していただくと内閣府の役割が、ナチスドイツの党と重なってきますね。実は、すでに日本には第二官僚とも言える人たちも登場しています。小泉政権下の竹中平蔵や川口順子がそう。いまなら官房副長官の杉田和博、国家安全保障局長の谷内正太郎です。要は総理のお友だちです。
片山:内閣府がファシズムと親和性が高いのは分かります。さらにいえば、内閣府だけでなく、自民党もそうでしょう。彼らの成果というよりも、野党の体たらくによって肥大化し、安倍政権を支えている。
しかし、第一次世界大戦で失われた領土を取り戻し、ナチスの思想を共有する民族共同体を作ろうとした戦前ドイツのファシズムとは決定的に異なる。それは、彼らがどこに進もうとしているのか方向がまったく見えないことです。復古主義を掲げる日本会議の支援を受け、最もリベラルな公明党と連立を組んでいるわけですから。