一般的に考えれば、田原俊彦は1994年のジャニーズ事務所独立以降、苦境に陥ったように見える。

 同年2月17日の長女誕生記者会見の際に冗談のつもりで発した「僕くらいビッグになると」という言い回しが切り取られ、マスコミにバッシングされた。会見当初『ビッグ』という言葉は、ほとんど話題になっていなかった。しかし、3月1日に事務所を独立すると後ろ盾を失ったためか、冗談に過ぎなかった言葉は『ビッグ発言』と仰々しく報道され、急に傲慢だと叩かれ始めた。

 田原のイメージは急落し、ジャニーズ時代に年間20本以上あったコンサートは独立翌年には東京・大阪・名古屋の3か所に絞られた。ライブ集客の減少は、ジャニーズ事務所独立とマスコミのバッシングが原因と考えられている。

 だが、その2つだけが理由とは言い切れない。ファン層の一群を形成する1960年代後半生まれの女性が子育てに奔走していた時期とも重なるからだ。

 2010年代に入ってから、田原のライブ本数は増え、会場のキャパシティも広くなった。東京開催は2000年代Zeep Tokyo(椅子使用1200人収容)だったが、2011年以降中野サンプラザ(2222名収容)になっている。

 2011年の『爆報!THEフライデー』(TBS系)のビッグ発言検証放送によって誤解が解けたのも大きいが、ファンに話を聞くと、子育てを終えて再びライブに足を運ぶようになったケースも頻繁にあるようだ。

◆「ジャニーズ事務所はティーンエイジャーのための会社であるべき」

 人は得てして、センセーショナルな言葉や出来事に目を奪われがちだが、問題は何事ももっと身近なところにあるのではないか。冷静に状況を分析すると、違う答えが導き出せることもある。

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