あなたは、どんな死に方を望んでいますか。答えがあるようでみつからないが、準備しておきたいそのときに備えるにはどうしておくのがよいのか。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、日本の看取りを変えようとする「看取り士」やホームホスピスの取り組みについて紹介する。
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死は、すべての人にとってぶっつけ本番だ。だからこそ、人任せにせず、できるだけ準備しておきたい。特に、自分の意思を書いて、家族やかかりつけ医に示しておくことは大切だ。終末期にどこまで医療を受けたいかを示したリビング・ウィルは、以前からその必要性が求められている。
一方、もっとメンタルな側面から本人と家族を支えようとする「看取り士」なるものも登場した。一般社団法人「日本看取り士会」会長の柴田久美子さん(66歳)が名乗り始めた肩書だ。
「最後の呼吸を腕のなかで」というスタイルで、「看取り士」が背中から抱きかかえるようにして看取る。家族がいる場合は、家族にその方法をすすめている。
死にゆく人と看取る人の間の、お互いのぬくもりを介して、言葉ではないコミュニケーションをする。亡くなっていく人の孤独や不安に寄り添うことができるし、遺された人にはグリーフ・ケア(悲しみの支え)にもなるだろう。