いよいよ大詰めを迎えているNHK連続テレビ小説「半分、青い。」。連日20%超の高視聴率をキープし続けているが、最大の注目は、鈴愛と律にどのような結末が用意されているのかだろう。その二人は目下、会社「スパロウリズム」を立ち上げ、「そよ風の扇風機」の開発から資金集め、売り込みに四苦八苦している。
■モデルになったバルミューダ寺尾玄社長「テレビはほとんど見ないです」
二人の運命を左右しそうなこの扇風機のモデルになっているのは、家電メーカー・バルミューダの「グリーンファン」だ。価格は3万円超と、扇風機としては高額ながら、自然の風を再現した画期的な扇風機として、2010年の発売以来、30万台を突破した大ヒット商品である。
すでに番組のクレジットに表示されている通り、「半分、青い。」の原案には、バルミューダの寺尾玄(てらお・げん)社長が協力している。それによって「グリーファン」の開発販売過程が正確に脚本に盛り込まれ、ドラマにリアリティを与えている。鈴愛と律が味わっているのは、実際の大ヒット商品を世に出すに至ったものづくりの苦労と喜びなのである。原案協力に至った経緯を、バルミューダの寺尾社長はこう語る。
「きっかけは、脚本の北川悦吏子さんが糸井重里さんと僕の対談を読んでくださったことでした(ほぼ日刊イトイ新聞「バルミューダのパンが焼けるまで」)。興味を持ってくださって、脚本に協力してほしいという依頼が来たのです。ただ僕は、あまりテレビを見ないんですね。正月の箱根駅伝とボクシングのタイトルマッチ以外、ほぼ見ないから、申し訳ないですが、連続テレビ小説がどういうものか、知らなかったくらいです。それもあって、お話をいただいた時は驚きました。
お受けしたのは、ドラマを通じて、ものづくりの面白さを伝えていただけると思ったからです。バルミューダのことではなく、こういう道もあるんだということを、知ってもらいたかった。バルミューダを創業して15年経ちますが、日々、刺激的な冒険が続いています。このドラマをきっかけに、ものづくりを始める人が一人でもいたら、ドラマに協力した甲斐があると思います」