「タッキー&翼」の解散、そしてタレント活動からの年内引退を発表した滝沢秀明(36才)。今後はプロデュース業に専念するという。これまで俳優として多くの作品に出演してきたタッキーは、NHK大河ドラマ『義経』など時代劇への出演が実は多い。時代劇役者としての活動を振り返るとともに、それが今後のプロデュース業にどう活きてくるのか、時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが考察する。
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滝沢秀明引退については、ジャニーズ事務所の後輩の育成に専念する覚悟だとか、後継者に指名されたとか、いろいろ言われているが、私は正しい選択だったと思う。
時代劇好きとしては、時代劇主演作も多い俳優の引退は正直残念だが、その芸能活動を見てみると、エンタメ作品の製作者には向いていることがわかる。一番の強みは「人脈を呼ぶ男」ということだ。
滝沢は、赤穂浪士の討ち入事件として有名な忠臣蔵をテーマにした1999年のNHK大河ドラマ『元禄繚乱』に吉良義周役で出演している。義周は、吉良上野介(石坂浩二)の養子で吉良家の跡取り。いわば主役の敵方だ。赤穂浪士に討ち入られたときには18歳で、そのシーンでは、赤穂方の最年少メンバー矢頭右衛門七と戦っている。その右衛門七役は、今井翼。このドラマでは「タッキー&翼」が、「タッキーVS翼」になっていたのだ。そしてこのドラマの主人公・大石内蔵助が、今は亡き中村勘三郎(当時は中村勘九郎)。歌舞伎界の超人気者と10代で出会っているのである。
その後、滝沢は、2005年には、大河ドラマ『義経』に主演している。1年間放送される大河ドラマに主演するということは、NHKの気鋭の演出家、脚本家とも深い縁ができるということである。脚本は金子成人、メイン演出家が黛りんたろう。共演には、義経に仕える武蔵坊弁慶の松平健、源頼朝の中井貴一、平清盛に渡哲也、藤原秀衡に高橋英樹など主役クラスがずらり。さらに義経の師匠のような存在の鞍馬山の修験者・鬼一法眼が美輪明宏! もう怖いものはありません!! こんな面々が当時史上最年少の22歳で主演したタッキーを支えたのである。最強の人脈ができたはずだ。
舞台公演『滝沢歌舞伎』は、この作品をきっかけに滝沢自らの発案で始まったという。20代前半でプロデュース能力を発揮、多くの先輩、後輩がこの公演に参加している。