手元に1枚の席次表がある。小池百合子都知事や国交大臣、厚労副大臣が一列に並ぶ席から数m離れて、1セットの机と椅子が記されている。来賓の皇太子さまのために用意された、特別なお席だ。
9月16日夕方、東京国際展示場(東京・有明)で「国際水協会世界会議」の開会式が開かれた。出席者は約2000人。皇太子さまもスピーチされる予定だった。
「席次表にあるように、壇上に皇太子さま用の椅子が1脚だけ用意される予定でした。ところが直前になって“皇太子さまの御机には2脚必要”ということになったんです。雅子さまもご一緒に出席していただけるという連絡がありました。雅子さまのご出席は初めてのことです」(会議関係者)
前日15日に、9日間のフランス訪問から帰国されたばかりにもかかわらず、皇太子さまはお疲れの様子も見せず、その日は午前中から2度も皇居に出かけられた。その際は皇太子さま1人だけだったので、雅子さまが会議に同席されるとは誰も予期していなかったが、会場玄関には雅子さまが笑顔で姿を見せられた。
濃紺のスーツに青いネクタイを合わせられた皇太子さまのお隣で、雅子さまは白い帽子に、白のツーピース、白いハンドバッグ、白いパンプスと、全身が純白の装い。出迎えた関係者一人ひとりと挨拶を交わされた。
「壇上では皇太子さまと並んでご着席になり、皇太子さまのお言葉に真剣な眼差しで耳を傾けていらっしゃいました。皇太子さまは英語でスピーチされました。北海道の地震のお見舞いの言葉に始まり、7月の西日本豪雨や近年の南アフリカの干ばつ問題に触れ、水問題に関しての世界的な連帯を訴えられました。
今まで、水問題に関する国際会議には皇太子さまがお1人で出席されることが多かったので、雅子さまのご出席は思わぬサプライズでしたが、常日頃からご夫妻の間では水問題についてディスカッションされているそうで、雅子さまの関心も高いそうです。今回の会議へのご出席も、“ある決意”の表れではないでしょうか」(皇室記者)
学生時代に水運を学ばれた皇太子さまは、1987年にネパールを訪問された時、水くみ場の前で列を作る女性と子供の姿を写真に収められ、「水」問題の深刻さを痛感。貧困や教育、災害や環境などと密接にかかわる、人類共通のこの問題をライフワークに取り組まれてきた。
2003年、国内外の専門家による国際会議「世界水フォーラム」の名誉総裁に就任されると、さまざまな会議や国連の委員会などで講演され、世界的な評価も高い。宮内庁関係者が話す。