史上初となる全域停電、「ブラックアウト」を引き起こした、9月6日の北海道大地震。信号機が止まり、交通は大混乱。携帯電話の充電が切れ、情報収集手段が失われた人も続出した。
なかでも深刻な状態を迎えたのが、「病院」だった。9月6日午前3時の地震発生以降、最大で376病院が停電。翌7日正午時点でも191病院が停電したままで、全病院で電力が復旧したのは9日午前のことだった。
多くの病院で非常用電源が作動したとはいえ、最大72時間以上にわたって通常電力が止まっていたことになる。
停電に加え、非常用発電機も止まった場合、病院ではどんな事態が発生するのか。機器やケースごとに専門家に聞いた。
◆人工呼吸器のバッテリーは約10時間
停電時、真っ先に影響を受けるのが、自発呼吸ができず人工呼吸器に頼る患者である。米山医院院長の米山公啓医師が解説する。
「非常用発電機も使えない場合、人工呼吸器に内蔵されているバッテリーに切り替えますが、そのバッテリーは10時間程度しか持たない。
電源が確保されている病院へ移送することになりますが、エレベーターやエスカレーターも停止しているので患者の移送も簡単ではない。通信機能もダウンしてしまうため、受け入れ要請を出すこともできない」