日本の道路や橋、トンネルなどのインフラは、今から約50年前の高度経済成長期につくられたものが多いため、そろそろ耐用年数を迎えようとしている。社会インフラだけでなく、マンションの老朽化も深刻な問題だ。経営コンサルタントの大前研一氏が、倒壊する危険もある老朽マンションの問題を解決するプランを提案する。
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イタリア・ジェノバで今夏、建設から50年以上経た高速道路の高架橋が突然崩落し、43人が死亡する事故が起きたが、これは“対岸の火事”ではない。
2007年に高速道路の橋が崩落して多数の死傷者が出たアメリカでも、橋や道路の多くは建設後70~80年経過して老朽化している。しかし、修繕や造り直しは遅々として進んでいないため、トランプ大統領は1月の一般教書演説で今後10年間に1兆5000億ドル(約163兆円)規模のインフラ投資を求めた。
日本も同様だ。2012年の中央高速道路・笹子トンネル天井板落下事故は記憶に新しいが、高度経済成長期以降に整備された道路や橋、トンネル、下水道などの大半が、今後15年で耐用年数の目安とされる「建設50年」を超える。
これに危機感を募らせた国土交通省は2014年に「インフラ長寿命化計画」を策定し、戦略的な維持管理・更新を進めようとしているが、予算や技術者の不足でなかなか進捗していないのが現状だ。