がん治療に強い専門施設──テレビや雑誌の特集などでよく見かけることがあるが、自分や家族ががんになった時、そうした施設の近くに住み、診てもらえる幸福な人はそう多くはない。あなたの住む地域で、がん治療の効果がより高い施設はどこなのか?
「ランキング上位は都心の病院ばかり。私の地域の病院はどうでしょうか」
「愛媛県に住んでいます。うちの主人の病院の生存率を周辺の病院と比べてみたい」
本誌・女性セブン2018年10月4日号で『がん5年生存率「全国251病院」衝撃ランキング』を掲載すると、編集部には全国から問い合わせが相次いだ。
国立がん研究センター(国がん)が9月12日、全国251医療施設で主要5部位(乳房・胃・大腸・肺・肝臓)のがんと診断された約50万人の患者の、進行度(ステージI~IV)別5年生存率を公表。それによると、病院によって生存率に大きな差があることがわかった。肝臓がんの1位は60%超だったのが、下位には1ケタ台の病院もあった。病院間の明確な「格差」である。
また、地域によっても格差があることが浮き彫りになった。すなわち、ランキング上位は東京や大阪などの都市部の病院が占めた。地方に住む読者にとっては「治療を受けたくても遠すぎる」と参考にしにくいところもあった。
そこで今回は、地域別で集計し直した。集計するのは患者数100人以上の病院に限定。対象部位は女性の罹患率で上位3つの乳がん・大腸がん・胃がんとし、全国47都道府県を北海道、東北、関東、甲信越、東海、北陸、関西、中国、四国、九州・沖縄の10地域に分け、それぞれの地域の病院で、がん5年生存率の全体平均が高い順に並べた。
傾向として、ステージIの患者を多く受け入れる病院は治る可能性が高いので5年生存率は高くなり、他の病院が受け入れていない末期患者を終末医療込みで引き受けるような病院は生存率が低くなりやすい。このランキングだけで「いい病院・悪い病院」と横並びに判断することはできないが、患者が病院を選ぶ1つの指標となるはずだ。
何より気になるのは、そうした病院間、地域間の「格差」がなぜ存在するのか、ということだ。ランキング上位の病院は、他の病院と何が違うのか。その病院は何がすごいのかを探る。
◆愛知と熊本にいる乳がんの名医
まず女性の罹患率第1位の「乳がん」。罹る患者の数は多いが、死亡率では5位で、5年生存率は全国どこの病院も比較的高い。以前は外科の一部として治療が行われていたが、最近は乳がんに特化した「乳腺外科」を設置する病院が増えている。医療ジャーナリストの増田美加さんは、乳がんに強い病院についてこう語る。