今年は大型台風や巨大地震など、日本列島が多くの災害に見舞われている。避難生活を余儀なくされた場合、マイカーによる車中泊は「つらい」「危険」といったネガティブな報道も多く流れるが、モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏は、「むしろ車中泊のほうが快適」と指摘する。
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日本は昔から災害の多い国ですが、特に最近は毎年のように、何かしらかの災害に見舞われています。地震、台風、大雨などで、自宅から避難所へ向かわなくてはならない人は、本当に苦労が多く大変なことでしょう。
そんなとき、必ず一定数の人が避難所ではなく、車中泊を選びます。「避難所がいっぱいで入れない」「ペットと一緒に避難できない」「プライバシーが保てないのはつらい」など、さまざまな理由があります。
そうしたときに必ずと言っていいほど、「車中泊はつらい」「車中泊はエコノミー症候群が危険」といった趣旨、もしくはそうした印象を強く残す報道が行われます。こうした報道に接すれば「車中泊はしないほうがいい」と考える人が多くなるのではないでしょうか。
確かに、車中泊は自宅のベッドと比べると快適なものではありません。また、座席に座ったままの姿勢で寝ていてはエコノミー症候群になる可能性もあります。しかし、よく報道の内容を吟味してみると、「自宅じゃないからつらい」「避難生活が長引くのがつらい」という側面も含まれており、その場合は車中泊に限らず、避難所での生活でも同じでしょう。
つまり、“避難生活”と“車中泊”という2つのつらさが混ざって報道されているのです。ところが車中泊にはノウハウがあります。オートキャンプという趣味が存在するほど。上手にやれば快適な車中泊を手に入れることもできます。
もちろん、何も考えず、何も用意せずに行えば、不便でつらいものになりえます。ですから、必要なのは、「車中泊はつらい」ではなく、「こうすれば車中泊は快適になる」という情報でしょう。