「人生100歳時代」「生涯現役」と、長生きを肯定的にとらえるフレーズが市民権を得るようになってきたが、世のジジイたちは、心の中では怒っている。野球解説者・金田正一氏(85)の場合は──。
「周囲が何かと手を差し伸べてくれたり、気を遣ってくれるのはありがたいことだが、過剰な配慮によって、ますます老けさせられているような気もする。もっと本人に任せてもらいたいもんじゃ」
そう語る金田氏が違和感を覚えるのが、携帯電話の選び方だ。
「ワシは長く2つ折りの携帯電話を使っていた。『ガラケー』というそうだな。しかもボタンが大きくて画面が見やすいものを持たされてきた。
ところが最近、初めてスマホを持ってみて驚いたのなんの。散歩中でも生中継が観られるから、誰がホームランを打ったのかが逐一わかる。生で観られなくても、データも取れるから結果や選手個々の成績も一目瞭然。ラジオの時代から野球をやってきたワシにとっては、信じられないような時代だよ」
スマホを使い始めた時は孫に使い方を教えてもらっていたが、「一度やり方を覚えると簡単じゃ」と金田氏は自信満々の表情である。