ライフ

鹿島茂氏が選ぶ「失われた東京」を知るための7作

明治大学国際日本学部教授の鹿島茂氏 撮影:藤岡雅樹

「東京」を知るために読まないと後悔する本を7作、仏文学者で作家の鹿島茂氏が選んだ。

 * * *
 パリには昔のパリがあり、東京には昔の東京はない。そもそも日本には街の景観を残す発想がない。そのため土地取引や開発、建築に関する私の権利が強く、裏返せば公の規制が弱く、街のスクラップアンドビルドが容易に、無秩序に行われてしまう。加えて関東大震災のときがそうであったように、大地震が起これば嫌でも街は一変せざるを得ない。

 人々が慣れ親しんだ街並みは記憶の中にしか残らず、それもやがては薄れゆく。街の光景が変われば、人々の心のあり様も変わっていく。

 私は「失われた東京」に強い愛着を持つ。そこで、ここでは「失われた東京」が描かれた文学作品を選んだ。それは一人ひとりの作家が体験した私的な東京の姿であり、全体を俯瞰したものではない。だが、図らずも優れた東京論になっている。

 現在の群馬県館林市から本格的に上京した明治19年(1886年)から大正初期までを回想したのが田山花袋の『東京の三十年』【1】。島崎藤村ら若き文学者との交流とともに、「江戸」から「東京」への変貌を描く。花袋のような「上京者」にとって東京は夢を追う場所だった。上京当時に住んだ牛込市ヶ谷はまださびしい野山で、東京府庁舎のあった内幸町周辺には高い火の見櫓が残り、老舗の店前からは番頭と小僧の掛け合いが聞こえてきたという。そんな江戸の面影も、20世紀に入って路面電車が開通するとすっかり消えた。

トピックス

休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
新年度も順調に仕事を増やし続けている森香澄
《各方面から引っ張りだこ》森香澄、“あざとかわいい”だけじゃない「実はすごいアナウンス力」、「SNSの使い方はピカイチ」
NEWSポストセブン
4月7日、天皇皇后両陛下は硫黄島へと出発された(撮影/JMPA)
雅子さま、大阪・沖縄・広島・長崎・モンゴルへのご公務で多忙な日々が続く 重大な懸念事項は、硫黄島訪問の強行日程の影響
女性セブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン