交通事故の総数が年々減少傾向にある一方で、高齢ドライバーの事故割合は年々増えつつある。今年上半期(1~6月)の全国の交通事故死亡者数のうち、65歳以上の割合は過去最多の56.6%に上った。
ドライバーの高齢化に伴い、車が持つ「安全性能」がますます重大な関心事となっているが、一般ユーザーが各車の安全性能の違いを比較することは難しい。しかし、その手がかりとなるデータがある。国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)が共同で行なう「衝突安全性能評価」である。NASVA自動車アセスメント部が説明する。
「各メーカーが自動車を販売するために行なう試験は、『法律で定められた保安基準をクリアしているかどうか』を調べるためのものです。
それに対して『衝突安全性能評価』は、安全な自動車の普及・促進を図るために、国交省が監修しNASVAが実施する試験をもとに、安全性能を数値化して公開している。つまり、車種ごとの安全性比較が可能となります」
NASVAの試験は、年間の新車販売台数上位の10数車種を対象にしている(同じ車種でも複数のグレードがある場合は、最も販売台数が多いものを採用)。
採点は208点が満点で、内訳は「乗員保護性能」が100点、「歩行者保護性能」が100点、そして「シートベルト着用警報装置」が8点。
「安全性能評価は“事故によって命に関わるような被害、損傷になるかどうか”に重きを置いている」(同前)
つまり、衝突時に“乗っている人が死ななくて済むか”“対人事故で死なせなくて済むか”が重要視されている。