国が推奨する公的な「集団がん検診」には、大きな問題が隠されている。発見精度が低く、見落とし、見逃しが各地で多発しているのだ。中でも死亡数が多い胃がん検診で実施される「バリウム検査」には問題点が多いと指摘するのは、ジャーナリストの岩澤倫彦氏だ。
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2015年から、国の推奨する胃がん検診に「内視鏡」が加えられたが、今も「バリウム検査」を実施する自治体や検診機関が圧倒的に多い。だが、このバリウム検査について、ぜひ知っていただきたい事実がある。
◆問題点1/ピロリ菌感染者以外はムダ
胃がん患者を調べた研究では、99%がピロリ菌感染者と判明した。裏を返せば、ピロリ菌の未感染者が胃がん検診を受けること自体がムダと言える。
浅香正博医師(現北海道医療大学・学長)によると、50歳以上の日本人のピロリ菌感染率は1992年時点で8割を超えていた。それが2013年の調査では、約5割にまで減少。呼応するように、胃がんの死亡数も減少傾向にある。
2014年、WHOの研究機関・IARCは、「ピロリ菌のスクリーニング検査、および除菌治療を行うことを推奨する」と勧告した。それなのに、ピロリ菌を全く考慮せず、集団で胃がん検診を行うことは、検診組織の維持が目的と勘ぐられても仕方がないだろう。