馬券売上のうちの何%かを的中者で“山分け”するのが競馬だ。その割合が「払戻率」で単勝・複勝は80%、枠連・馬連・ワイド77.5%、馬単・三連複75%。そして三連単は72.5%と、最も“割りが悪い”。競馬歴40年のライター・東田和美氏が、三連単の泣き所について考えた。
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今週から舞台は東京と京都に移り、2週目の秋華賞から12月28日(金)のホープフルステークスまで、毎週GIレースが行なわれる。11月4日(日)にはJBCの3つの地方交流G1も京都競馬場で行なわれるため、中休みすらなく、ファンにとっては忙しい日々が続く。
ふだんあまり競馬に興味を示さなくても「GIだけ買う」という人も多い。たとえば、今年の皐月賞の馬券売上は178億円だった(1億円未満切り捨て。以下同)。GIデーともなれば徹夜組も出て、競馬場の入場者も増えるが、皐月賞の日の第1レースの売上は4億円、特別レースでさえ10億円程度、同日、阪神で行なわれたGIIIアンタレスSでも26億円だ。土曜日などは一つの競馬場のレースの売上合計が100億円にいかないこともあるが、GIは1レースだけで100億円を超す。
GIでどんな馬券が売れているかというと、やはり三連複・三連単。通常のレースでも約半分を占めるが、GIになると60%を超えることもある。GIだけ買うという人は、「夢を買う」などといって細かく検討することもなく、競馬場へ出かけることもなく、巷の評判や直感で三連単を買うケースが多いようだ(それで当たることがあるのも競馬だが)。一番当てにくい馬券が最も売れているのは、やはり高配当が魅力なのだろう。
少々乱暴だが、上位人気馬のボックス買い(選択した馬全ての組み合わせを購入する買い方)で比較してみた。三連単は5頭ボックスだと60通り、100円ずつ買えば6000円になる。そこで今年上半期のGIレース(フェブラリーS~宝塚記念)を、単勝は1番人気から5番人気を1200円ずつ、馬連と三連複は1番人気から5番人気までを5頭ボックス(10通り)で600円ずつ、同様に馬単は20通りになるので300円ずつ買ったとして集計した。