ライフ

何才からでも筋肉は鍛えられる 83才母の驚異の筋トレ成果

83才母、筋トレで成果(写真/アフロ)

 父が急死したことで、認知症の83才母を支える立場となった女性セブンのN記者(54才・女性)が、介護に関する実体験や感じたことを記録するこの連載。今回は、母の“筋トレ”に関するエピソードを紹介します。

 * * *
 私は今、不調連発の更年期真っただ中。肉体の衰えを実感するからこそ、親が老いる悲しみにも寄り添えるのだが、筋肉というのは別モノらしい。デイケアなどで日々鍛えている母の力強い小走りには、目を見張るものがあるのだ。

 更年期障害は、今も昔も女性誌の定番テーマ。10年くらい前、私もよく取材していた。更年期は閉経前後の約10年、女性ホルモン激減の影響でさまざまな不調が現れる。

 ちょうど母に要介護の認定が出た6年前頃、私にも更年期症状が出始めた。私の場合はひどい疲労感が主な症状で、昔はどんな無理でもきいてくれた体が、もう何も言うことをきいてくれなくなった。

 不思議なことに仕事中は気が張って動けるのだが、仕事終わりにひとりで道を歩いていて、一歩も前に進めなくなることもあった。しかし、健診で別の病気がないことはわかっていたので、休憩や昼寝をまめにして、コントロールできているつもりでいた。

「仕事や母の用事のときに力を出せるよう、普段はできるだけ動かないようにしよう」というのが、私なりの更年期対策。元来運動が嫌いなので、少々不合理なこの対策には妙に満足。日に日に体の動きが鈍くなることも軽視していた。

 ある日こんなことがあった。長時間パソコンの前に座っていてトイレに立つと、気持ちと上半身はトイレ方向に向かうのに、足がついて来ない!

 体が前のめりに倒れ、最後の最後に足が出て大転倒は免れたが“体が言うことをきいてくれない”恐怖を本格的に味わい、冷や汗が出た。

◆週3日ペースで鍛える母。駅の階段も驚きの小走り!

 私の運動嫌いは母ゆずり。母は自転車にも乗れない運動音痴だ。60~70代の頃には血圧が高めで、医師から安静を指示されることも多くなり、78才で認知症に。母は“何をするにも手助けが必要な人”だと思い込んでいた。

 ところが実際はかなり違っていた。通院などで並んで歩いても、母は私にまったく遅れずについて来る。駅の上り階段でもしっかり手すりを手繰りながら「Nちゃん(私のこと)、急いで」と、小走りに上って行く。筋肉を鍛えていない私だからこそわかるのだが、階段を駆け上がれるのは相当な筋力だ。

 思えば母は血圧安定のために医師からすすめられた散歩を日課にし、認知症になったことで導入した介護サービスでは週3回、体の機能を鍛えるリハビリ系デイケアを入れた。理学療法士が指導する筋トレは、高齢とはいえ同年代が並んで行うと、小さな競争心もわくらしい。お茶の時間も含めて1~2時間、じっくり体を動かすことに集中する。

 これを毎週3回、介護サービスを利用し始めて今年で6年、習慣として継続している。私がたまにネット動画を見ながら、疲れない程度に行う体操とは桁違いの運動量だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン