芸能人がYouTubeデビューしても、成功することはあまりない。テレビなどでおなじみの魅力が、なぜか激減するからだ。元SMAPの草なぎ剛が昨年、YouTuberデビューした。以後、投稿されている動画は120本超。有名YouTuberとコラボするなど話題を振りまいてきた。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、YouTuberとしての彼の真骨頂は、どんなときに発揮されているのかを考えた。
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ジャニーズ事務所を退社した稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が結成したユニット「新しい地図」。名は体を表すように、まっさらな紙に地図を描く3人。現在、未開の地であったウェブにも挑戦している。稲垣がアメーバブログ、草なぎがYouTube、香取がInstagramにアカウントを作った。
“ウェブにも挑戦”と一緒くたに書いてしまったが、3人のなかで圧倒的に大変なのは草なぎだろう。そもそも映像を作る手間暇は、文章、写真と比べて準備から本番、編集までとかかる時間も人手も格段に多い。
稲垣のブログ、香取のインスタは私生活のチラ見せが多い。草なぎの動画にもそういった傾向は見られるが、数としては少ない。多くはスタジオで撮影し、作り込んだものを公開している。前者と比べて桁違いに高コストにも関わらず、毎週新作を公開する草なぎの勤勉さには頭が下がる。
草なぎは、稲垣、香取と共演したYouTubeでこんなことを語っていた。
「最近、俺がやっていることにみんな慣れちゃってね、視聴回数ちょっと減ってきちゃって。やった当初は反応がすごかったんだけどね……(笑)」
『ユーチューバー 草なぎチャンネル』が開設された当初は、たしかに僕もよく見ていた。そして、最近はあまり見てはいない。草なぎが指摘した“慣れちゃった視聴者”の典型だといえる。過去の作品をチェックしてみると、試聴回数は緩やかに減少していた。50万を超える動画も多いが、なかには10万再生いかないモノもある。
チャンネル登録者数は80万人以上いる。芸能人だと、最近ゲーム実況でYouTuberデビューをした本田翼のチャンネル『ほんだのバイク』の90万人に続く登録者数を誇る。もちろん、YouTuberとして見ても超一流クラスだ。しかし、日本のトップスターとしては物足りない数字なのかも知れない。
よし!これを機に、と『ユーチューバー 草なぎチャンネル』をチェックしてみた。このコラムを書いている10月5日時点で公開されている動画は121本。最も古いものは、昨年11月にAbemaTVで配信された「新しい地図」による『72時間ホンネテレビ』内で撮影された「矢沢永吉さん。ありがとうございます。」。番組にコメントをくれた矢沢に3人が感謝を伝えている。
最も多く再生されているのは「3人でマクドナルドに来たよ!!」、視聴回数は540万回。上の動画同様に『72時間ホンネテレビ』内で撮影された1本。タイトルそのまま「マクドナルドのポテトが美味しいよねぇ」と3人がたわいもない話をする内容である。
121本中、最初の31本は『72時間ホンネテレビ』から生まれた動画。主に番組の舞台裏を撮影したものなので、それ以降に本格的なYouTuber草なぎがスタートといえる。