ランキングに登場する車種を製造する全メーカーに取材したところ、各メーカーはNASVAの評価を概ね肯定的にとらえている。
「公正な方法で試験・評価をされたものであり、妥当と考えます」(スバル広報部)
「ある一定条件下での比較として、妥当な評価基準であると考えています」(日産ジャパンコミュニケーション部)
だが、試験では“すべての事故”を再現できるわけではない。実際に事故が起きた場合の安全性という面では課題があるという。
「実験結果として安全性能が高くても、現実の事故ではエアバッグの圧力が強すぎて乗員が怪我をするなど、想定外の事態が起きます。たとえ最高クラスでも当たり所が悪ければ、車は潰れる。得点の高さはあくまで一定条件下でのものと踏まえる必要があります。
また、近年は自動ブレーキや車両感知システムなど『事故を未然に防ぐ技術の開発』が自動車業界の新たなテーマとなっている。自動車の安全性能を測るうえで、今後は衝突安全だけなく『予防安全性能』の評価も点数に加える必要が出てきています」(福田氏)
事故を絶対に起こさないとはいえない以上、「運転事故で命を落としたくない」「誰かを傷つけたくない」というのは全ドライバー共通の願い。安全性を見極める手がかりとして役立てたい。
※週刊ポスト2018年10月12・19日号