残りわずかとなった平成の時代には、いったい何が起きたのだろうか。今回は平成九年を振り返る。
4月、景気が陰りを見せるなか、消費税導入後、初の税率アップに踏み切った橋本内閣。国民の強い批判を浴びての改正。引き上げ分だけで約9兆円の負担増と試算され、景気後退の大きな要因の1つになったとの指摘も。
また、秋には証券会社や銀行の金融連鎖破綻が起こり、先行き不安はさらに増大した。
この年に起きたのが、兵庫・神戸連続児童殺傷事件。2~3月、路上で小学生女児らをハンマーや金づちで殴り、女児1名が死亡。5月、中学校正門前に殺害した男児の頭部を置き、「酒鬼薔薇聖斗」の名で「さあ、ゲームの始まりです」等のメモ。新聞社には犯行声明文が送りつけられた。この残忍極まりない犯行が、中学3年生の少年によるものだと発覚した際、日本中が震撼した。少年は医療少年院へ送致。少年法の厳罰化が問われた。
7月、1982年に愛媛・松山市で同僚を殺害した疑いで全国指名手配されていた福田和子容疑者が福井で逮捕。行きつけのおでん屋での情報が決め手となった。整形手術や偽名を使いながらの逃走劇は約15年間に及び、時効まであと21日での逮捕となった(福田は服役中に病死)。
渋谷・円山町のアパートで東電OL殺人事件も発生。現在も未解決事件となっている。
海外ではダイアナ元英皇太子妃を乗せた乗用車が8月31日未明、パリのトンネル内で柱に激突し大破。ダイアナ元妃は出血多量により亡くなった(享年36)。
アニメ映画『もののけ姫』が観客動員数1420万人を記録し、渡辺淳一原作『失楽園』もドラマ、映画でそれぞれ話題に。
ヒット商品はエンジンと電気モーターを併用した世界初の量産ハイブリッドカー『プリウス』(トヨタ)。流行語は「ガーデニング」「透明な存在」など。
【平成九年の主な出来事】
3月19日 東電OL殺人事件。遺体発見
3月22日 秋田新幹線『こまち』登場
4月1日 橋本内閣が消費税を3%から5%に引き上げ
5月10日 映画『失楽園』公開。総動員数は250万人
6月28日 神戸連続児童殺傷事件で中学3年生の少年を殺人と死体遺棄容疑で逮捕
7月29日 指名手配犯の福田和子容疑者を福井市内で逮捕
8月11日 山一證券利益供与事件で役員退陣。翌月、山一證券経営破綻
8月31日 英・ダイアナ元妃が仏・パリ中心部のトンネルで交通事故死
10月22日 安室奈美恵がTRFのSAMと電撃入籍(妊娠3か月)
12月9日 介護保険法成立
12月10日 トヨタから『プリウス』が発売
※女性セブン2018年10月25日号