今年7月に相続に関する民法の規定を見直す改正案が成立、来年1月以降に順次、施行されていく改正民法によって、相続の常識は大きく変わる。
相続の基本は、等分に分ける法定相続だ。だが、遺言書によって「子供2人のうち、全財産を1人に相続させる」といった指定をすることも可能だ。ここまで“不公平”な相続の配分でも、遺言書自体は体裁に問題がなければ認められる。ただ、遺言によって1円も受け取れないとされた子供から不服が出るのは明白だ。
それを想定し、法定相続分の半分までを請求できると定めたのが「遺留分」だ。今回の法改正では、この遺留分について、2つのルールが変わった。
1つは、遺留分は現金での支払いになったことだ。父親(母はすでに他界)が預貯金ゼロで、資産価値4000万円の家だけを残して亡くなり、2人の兄弟のうち、長男に家を相続させる遺言を残していたとする。次男が不満に思い、遺留分を請求した。
相続人は子供2人なので、次男の法定相続分は2分の1の2000万円。遺留分として請求できるのは、その半分の1000万円だ。相続コーディネーターで夢相続代表・曽根恵子氏はいう。